1)SDGsとは
最近では認知度が上がった「SDGs(Sustainable Development Goals)」とは、「持続可能な開発目標」のことで、2015年に国連で採択された15年間の活動目標です。
2030年のありたい姿を目指して、17のゴールを設定し活動をしていますが、すでに半分が過ぎようとしています。SDGsは大企業だけでなく中小企業も、個人も参画が期待されています。
最近、様々な企業のSDGs取組宣言や、マスコミでも「SDGsにとりくみましょう」といったキャンペーン活動を行っています。
SDGsの構成要素である「環境」「経済」「社会」は、ストックホルムにあるレジリエンス研究所の「図表 SDGsウエディングケーキ」として表現されていますが、環境が生活の基盤としてあり、よりよい社会が成立することで、経済が発展することが可能になると言われています。私たちも子供のために未来に、次世代の為にも持続可能な成長をすることが重要であり、SDGsは位置付けられています。
今は、「SDGsに取り組む、取り組まないではなく、取り組まないことは単に環境破壊という事だけではなく、社会や会社(経済)にもマイナスの影響しかない」とも言えます。
2)HACCPとSDGsのつながりを考えてみる
SDGsには17のゴールがあります。飲食店や食品製造業のおける、SDGsのつながりを考えていきます。
SDGs17の目標は下記のようになります。
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/statistics/index.html
HACCPに関しては、安全、安心を提供しますが、いまひとつSDGsとのつながりが分からないと言われることが多くあります。先述のとおり、SDGsは私たちが「持続可能な成長」をするために何ができるのか?という視点が大切です。今現在コロナウィルス感染症の流行による衛生環境への再認識や、ロシアのウクライナ侵攻による原油をはじめとする様々な原料の値上げや品不足が発生しています。このままでは、持続可能な成長はできません。私たちのような草の根の活動が大切な時期だと思います。小さな一歩で考えてみれば、HACCPを通じて、無駄をなくす(廃棄ロスを減らす)ことで、コストダウンにつながります。これは大きくとらえるとSDGsにつながるのです。
皆さんの活動を振り返ってみて、一部を下記のように当てはめてみました。
企業を経営し、雇用を続けることが持続可能な経済活動や社会貢献につながります
食材を無駄なく使うことや廃棄食材をコンポストで肥料にしたり、包装材にリサイクル品を使うことが、環境保全につながります
学校の職業体験教室の受入や様々な団体への寄付や、高齢者の活用などが社会や地域への貢献につながります
このように皆さんは、意識しなくてもSDGsに取組んでいるのです。
そして次のステップで、環境や社会の良い活動を進めていくことが大切です。これまでやっていなかった、廃棄食材を使ったメニューや、他社とコラボして新たにサステナブルな商品を開発することなどに取り組むことが、一番大切です。
3)SDGsに取組のメリットは(効果)
SDGsに取り組むメリットを考えると大きく2つあります。
a)「フードサプライチェーンの一員としての責任」
私たちの飲食業や食品製造業は最後に消費者につながる重要な部分ですが、原料の育成やその肥料などから消費、再生まで考えると、一企業だけの問題ではありません。サプライチェーンの中での責任ある行動が中小企業でも求められています。SDGsへの取組は、メリットや売上げが即時に出てくるわけではありませんが社会的責任と長期経営課題への対応につながっていくでしょう。
b)「現在と将来の従業員へのモチベーション」
現在のお子さんや学生さんは、環境問題やサステナビリティへの関心が高く、2020年からは義務教育にもSDGsが取り入れられています。ある企業では、SDGs活動を通じ、社員の仕事に対する気持ちが変わったり、就職活動でも希望者がSDGs活動に興味を持っていたりと、代表の方の行動はモチベーションアップにもつながっていきます。
このようにSDGsと宣言するなどを通じ、社会や金融機関などから評価をえて、ブランド化や社員満足の向上につなげていきましょう。難しいことを考えるのではなく、足元の事業を見直し、小さな一歩から将来のためにSDGs活動に取り組んでいきましょう。